第3回『記譜法』

このエントリーをはてなブックマークに追加楽譜と鍵盤の関係② the記譜法


chapter 1
記譜法の歴史


いい音楽ができあがったら、記録したい、
そして再現したい、そう思うのが常。
再現できるように音楽を楽譜に起こすことを「記譜」といいます。
記譜の歴史は音楽の発展の歴史と密接な関係にあります。
現在一般的な「五線譜」ができあがるより以前も、いくつかの記譜の方法がありました。


①文字譜 古代〜

文字のみで表現。音の高低を歌詞の上に記す方法。キリスト教の聖歌など。


②ネウマ譜 9世紀頃〜

「ネウマ」といわれる記号を用いた記譜法。11世紀頃から四線上に表記するようになった。
五線譜のはしりか。グレゴリオ聖歌など。





③五線譜 17世紀〜


五線上の水平軸に時間、垂直軸に音高をとり、音符と記号で楽曲を表現する方法。現在もっとも一般的な楽譜。



chapter2

五線譜の記譜


いま世界中でもっともよく使われているのは五線譜。
音楽理論を学ぶ上では五線譜の記号を理解することがマスト。 
まずは楽譜のしくみと主な記号を学びましょう。


①線と間、加線
五つの線は、下から上(低音から高音)にかけて第一線、第二線…
線と線の間を同様に 第一間、第二間… といいます。




さらに、五線に収まりきらない低音部、高音部に加えてある線を「加線」とよびます。
おへその「ド」の音符についていますね。
下の図のように線と間が増えるごとにまた1から数えます。




②音部記号 〜ト音記号ヘ音記号
音部記号とは、書かれている音符がどの音を示すのかを明確にするための記号。
代表的なものに、誰でも一度は見たことがある「ト音記号」・「へ音記号」があります。


ト音記号
アルファベットのGをくずしたデザイン。必ず第二線から書き始める。
『第二線がGの音』というルールを表している。





「へ音記号」
アルファベットのFをくずしたデザイン。必ず第四線から書き始める。
『第四線がFの音』というルールを表している。





音部記号があることによって、たとえばピアノなら長い鍵盤のどの位置を弾けばよいかがすぐにわかります。だいたい、高音を弾く右手パートがト音記号、低音の左手パートがへ音記号、ということが多いですね。その他にも、ハ音記号などまだ数種類の音部記号があります。もっとも一般的なものである上記二つは必ずおさえておきましょう。



実際の楽譜と鍵盤の位置はこのようになります。




船山メソッドとしては「ト音記号はセクシー。」ここ、覚えておいてください。テストに出ますからね。



③オクターブ
第一回ですでに学んだオクターブ。
1オクターブ=12この半音 でしたね。
鍵盤では白鍵・黒鍵に関わらず、すぐ隣の音の関係を半音といいます。
E•F間とB•C間には黒鍵がないのでここの移動のみ全音です。


忘れてしまった方はきちんと復習してくださいね。
ベロベロ1回まとめ



④変化記号
第一回で学んだ 「♯」「♭」のことを変化記号といいます。
1オクターブには12の音があるのに、五線譜には12も音を書くスベースがありません!
そこで、12のうち5つの半音は変化記号をつけて表します。



そのとき、C♯とD♭など、表し方は違っても出す音は同じ…というものを「異名同音」といいます。
…「よじじゅくぎょですよ!」 byみやこせんせい



楽譜の途中で突然出てくる「♯」「♭」を臨時記号といい、これは一度出てくるとその小節間のみ有効です。
「ずーっと有効です!最後まで! 」とみやこせんせいが言っていたのは噓ですから、だまされないように気をつけましょう!
臨時記号のほか、楽譜のあたまに出てくる「♯」「♭」もあります。
これは曲の最後までずっと有効なものですが、のちの『調性』であらためて勉強するそうです!



つまり、一小節のうちに何度も同じ音を示す変化記号が出てくることはありません。
が、一度付けた変化の指示を臨時的に元に戻したい場合は「ナチュラル」という記号を使います。



変化記号の名称、意味、譜面上での出てき方はこんなかんじ






ダブルシャープやダブルフラットなど、特に存在しなくても支障はないのになぜこんな面倒なものがあるのでしょう!
楽譜でお目にかかることはめったにないそうですが、頭の片隅に置いておきましょう。


chapter 3
音符と休符


変化記号もなにも、音符がなければ意味がない!
「ここでこの音をこの長さ出す」という指示の音符(おたまじゃくしって言ったりしますね)と、
「ここでこの長さ休む」という無音を指示する、ありがた迷惑的親切な休符の種類について学びます。

①単純音符・単純休符
音符は、五線上の位置が音の高さ(音高)を、形が長さ(音価)を表しています。
つまり音符の種類というのは、そのまま音の長さの種類です。



各部の名称はこう 





ト音記号がセクシーだからといって、えっちなことを考えてはいけません。



休符は無音の指示なので高低はありませんが、音符と同様に長さが重要。
音符・休符の種類は以下のようになります。





②付点音符・付点休符



上の音符・休符の横に小さい黒丸がついているもので、付点はもとの音符・休符の半分の長さをさらに加えます。
つまり1.5倍長くするのですが、初心者にはこれを把握するのが大変むずかしいそうです。
スタッカート記号と見間違えそうだし、長くするイメージが湧きづらいのじゃないかなーと私は思います。



付点音符と付点休符の種類






長さを指示する音符・休符ですが、これは絶対的な尺度での長さではないので注意です。
4分、8分…というのは曲の指示に従って変化する相対的な長さになります。
これらの音符と休符を使って、1小節中の長さの合計が必ず満タンになるように楽譜は構成されます。
ちょびっとも欠けちゃだめ。
たとえば4/4拍子の曲の場合、2分音符なら2つ、4分音符なら4つで満タン。
4分音符×1+8分音符×2+16分音符×4+4分休符×1 で満タンですね。(ですよね?自信ナシ)



五線譜の音楽記号は、まだまだ他にもたくさんあるそう!
音の長さの指示も、もっと複雑なものも… 
次回、7月12日・月曜日21時からお送りする「ベロベロ音楽理論・第四回」
テーマは「連符・その他の記号」です!!!!
お楽しみに! 




感想



音楽を始めたい! と思う人が二の足を踏んでしまう大きな理由のひとつが
「楽譜が読めない」ではないでしょうか?
ピアノに親しんでいる人が初見ですらすらと曲を弾いちゃう…
わたしなんかには憧れのワンシーンです。
小さい頃から音楽を習っている人にとっては当然のように読める楽譜も、
大人になってから慣れようとするのはなかなか大変。
なぜ楽譜ってこんなに読みづらいのか!
「ダブルシャープって本当に要るか!?」
「左手もト音記号で書いたほうがわかりやすいんじゃないのか?」などなど、
今日のわたしの頭の中は楽譜に対する愚痴がぐるぐる。 
しかし美也子センセイの発した「ト音記号はオシャレでセクシー」のひとことで、はたと気がついたのです。
「楽譜が読みづらいのは、オシャレだからである」と…!
そう、楽譜はオシャレ。
記号が煩雑であるのも、譜面をすっきりと美しく見せる工夫なのです!(完全なる推測です)
ト音記号ってオシャレじゃないですか?」と言って「ハァ?」と太整センセイに冷たく返された美也子センセイ…
ト音記号はオシャレでセクシーですよ!女子ならわかります! 
船山美也子直伝セクシー記譜法さえマスターすれば、もう楽譜も怖くない!!!
オシャレに楽譜を読み解きましょう。