第33回「分数コードとUST」

第33回 「分数コードとUST」



お久しぶりのベロベロ音楽理論でございます。
本日の講義テーマは「分数コード」と「UST」
USTはユーストリームにあらず。音楽理論でこの3文字が出て来たら
「アッパー・ストラクチャー・トライアド」と読みましょう。






先生方には2012年最後のショットをいっていただいて。


「今年も1年お疲れさまでした!」ということでベルベットサンから
+1ショットをプレゼント。





え? 4杯もいらない? またまた〜本当は嬉しいくせに!



ということで2012年最後のベロベロ音楽理論、スタート!










CHAPTER 1 …… 分数コードってなに? 




超近くにいるけど、無駄にワイプで抜いてみたよ!





譜面に分数の形で2つのコードが一気に出て来たら、それが「分数コード」。
分数の形〈C/D〉〈ConD〉などのかたちで記されています。 
分数コードは「オンコード」とも言います。





〈C/D〉の場合、Dをベース音にしてCトライアドを弾きなさいという意味。
つまり レ+〈ド・ミ・ソ〉の4音のコードになるというわけ。

〈C7/D〉だったりしたら、レ+〈ド・ミ・ソ・シ♭〉の5音になります。

分母は単音、分子はコードだってことがポイントですよ!




分数コードの捉え方は人によってさまざま、例によってあいまいなのですが、
大体、以下の3種に分類できると考えましょう。

1.コードの転回形


2.テンションを含む分数コード


3.アッパーストラクチャートライアド

1.コードの転回形


◆ 分子のトライアドの構成音に、ベース音が含まれているものを指します。


たとえば、〈G/B〉= シ+〈ソ・シ・レ〉
ベース音のBはGトライアドの3度と同じ音ですね。
Gトライアドを転回して弾くこととほとんど同じ。

聞いてみると、トライアドに厚みが増したようなサウンド





2.テンションを含む分数コード


◆ コードトーン以外のテンションノートがベース音になっているもの。


たとえば、〈C/D〉= レ+〈ド・ミ・ソ〉
DはCコードから見た9度のテンションノートにあたりますね。

かなり複雑な、広がりのあるサウンドになりました。
ソウルなどで多用される響きです。



3つめの「アッパーストラクチャートライアド」はチョット置いておいて、
分数コードを実感しながら曲の分析にいってみましょー!








CHAPTER 2・アナリーゼ! ♪ 「ガラスの十代」 




本日の課題曲は、光GENJIの 2nd シングル「ガラスの十代
1987年リリースするや、ザ・ベストテンで連続7週1位という記録を叩き出した、大ヒット曲です。
なんと作詞・作曲は飛鳥涼チャゲアスの、チャゲじゃない方。



知らなかった! ジャニーズ恐るべし! 
あ、ちなみにベルベットサンで1年かけて行ったジャニーズ研究の集大成が本になって原書房さんから出版されました(!)

ジャニ研!: ジャニーズ文化論

ジャニ研!: ジャニーズ文化論

日本の芸能や広告など、様々な角度から50年のジャニーズ史を研究した一冊。
ぜひ一家に一冊。




ガラスの十代」に戻りましょー。




聞いてみるとかなり複雑なサウンド
聞いてすぐにはなんのコードか判断がつかないような場合、
分数コードが使われていることが多いそうです。







ベースラインを「下げていきたい」「上げていきたい」という
Askaの意志がはっきり感じられるつくりになっています。
分数コードを使う場合、クリシェで下げたり上げたりしたいことが多い。


記譜するとき、構成音が同じものを、コードの種類で記すかオンコードで記すか
迷うことがあります。
そういう時は、曲の「文脈」とコードの特性を意識して、
演奏の意図に合っている方を記しましょう。


広がりが欲しいのか、ぶら下がる感じがほしいのか、とか。




上級者向けのはなしかも





話が難しいのでみやこ先生の美少女カットをお楽しみください。






ということで、3つめの「アッパーストラクチャートライアド」に戻ります。





CHAPTER 3・ アッパー ストラクチャー トライアド 





またこんがらがった名前のやつが出てきました。名前長すぎ。必殺技か。
けれどベロベロ音楽理論、「ハーモニック マイナー パーフェクト フィフス ビロー」も
「コンビネーション オブ ディミニッシュド」から溢れ出るラスボス感も、なんとか倒してきました。落ち着いて、意味を考えてみましょう。
……「上・構造・トライアド」。ほら、一気にカンタンそう! ビビらすんじゃねーよ!






要するにこうだ! ドン!




さっき言いましたね、分母のアルファベットは単音であると。
コード・オン・単音 ね。






「単音」つってんだろ!!!!








で、
アッパーストラクチャートライアド(略してUST)は分母もコード!
コード・オン・コード!






人によっては、こういう風に書き分けする場合もあるそう。
左が普通のオンコード、右がUST 。



ただし、実際的には一気に6和音も演奏することは滅多にありません。
セブンスだと8和音になっちゃうし、濁った変なサウンドになっちゃいます。
いい感じに間引いて使いましょう。



分母のセブンスは3度・7度だけにするくらいが無難よ。



カレーも食べたい、牛丼も食べたい、そんなとき
牛丼にカレーをぶっかけちゃったら、どちらも台無しですよね。

牛丼からちょっと汁とかタマネギとか間引いて、「牛井」くらいのもんにカレーをかければ、
どちらもイイとこどりのカレギュウの完成だ!
USTはそんな感じ!
普通のオンコードは、カレーが優先。カレーうどんな感じですね。


テンションノートをプラスするコードとUSTは、構成音が良く似ているものがあります。
その場合も、どちらを記譜するかは作曲者の意図によります。
コードだと地に足が着いているようなイメージ、
USTはちょっと遊びがある、解釈の幅があるようなイメージです。






おしまいに 



今日の講義は「作曲者の意図」が重要ポイントでしたね。
作曲……というより、「編曲」の意図といった方がいいかもしれません。

どのように演奏してほしいか、曲にどんなイメージを持たせたいか、
単にメロディをつくったり、メロディから機械的にコードをつけるだけでなく、
曲そのものに文脈を与えるのが編曲(アレンジ)の仕事。


かなり大事な作業にもかかわらず、作曲家や演奏家に比べて
編曲家の仕事にスポットライトがあたることはヒジョーに少ない!



切ない仕事やで!



たとえば、Misia の大ヒット曲「Everything」。
単純なメロディラインにもかかわらず、ミュージシャン泣かせの複雑なアレンジなんです。
このことは、これまでの講義でも、謎の「エブリシング問題」として何度か触れられてきました。


……wikipediaを見ても、編曲を担当した冨田恵一さんのお名前が出て来るのはだいぶ下!!




そこで!
次回のベロベロ音楽理論は編曲を大フィーチャー! 
これまで詳しく語られてこなかった「エブリシング問題」が明らかに!
天才・冨田ラボの仕事に迫りまーす!!




新年一発目のベロベロ音楽理論は、1月28日(月曜)

ぜひ、会場のベルベットサンに足をお運びいただいて、

ベロベロになりながら一緒に勉強しましょー。

ご予約・お問い合わせはコチラから! ↓
http://www.velvetsun.jp/schedule.html#1_28


当日飛び込みも大歓迎ですからー!




2013年も、4年目に突入するベロベロ音楽理論をどうぞよろしくー!
鋼の三十代コンビがお届けします!


あっ みやこ先生が怒った!



逃げろー 
















.