第2回『楽譜と鍵盤の関係性〜僕らの耳は狂っている!〜』

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chapter 1

ドレミの歴史 三つの音律


音楽を語るに欠かせない「ドレミファソラシド」ですが
みんなの知る(使う)音に統一されたのはごくごく最近のこと。
それまではさまざまな種類のドレミがありました。


ピタゴラス音律


数学者・哲学者として有名なピタゴラスが創ったといわれるもの。
金槌で弦を叩いて音を探した。
金槌の重さと弦の長さを変えて叩いたときに出る音から、
よく響く関係にある音(完全5度の積み合わせ)は12コであることを発見。


純正律


それまで単音でしかなかった音楽に、多声、ハーモニーが使われはじめる。
それにともない、よりにごりをなくし、美しく響くようにピタゴラス音律を改良。
ただし、純正律は各音と音の間隔が1:1ではないため、転調ができない。
もし転調する音楽を演奏しようとしたら、楽器が12台必要!


平均律


純正律の響きの美しさよりも汎用性を優先し、
各音を12等分してチューンアップ。
ざっくり言うと、響きを犠牲にして演奏の自由度を上げた音律。
現代の音楽に使用されている。


chapter 2
平均律の功罪」


音楽・音律の歴史は妥協の繰り返しで、
現代の平均律に辿り着きました。
より演奏の自由度を求めた結果、
純正律の持つ響きの美しさを捨てることとなったのです。


      音の美しさ   自由度
平均律」  ×       ○
純正律」  ○       ×


平均律が広く知られるようになったのは、
バッハの「平均律クラーヴィア」大ヒットによるそう。
今で言えば二枚組ベストアルバム、オリコン一位!みたいなかんじだとか。
これ以降、音楽の現場では「平均律」を使うのが一般的になりました。


平均律により、失われたものも…


ブルーノート
ジャズ、ブルースで言われる「ブルーノート」という音階、
厳密には平均律では演奏できないところの音程を使うため、
ピアノでは演奏できないとも言われる。


絶対音感
なんだか生まれながらのすばらしい才能のように聞こえる「絶対音感」というのは、
平均律」に合わせて訓練の結果得られるもの。
決して音楽的に美しい云々、という能力ではないわけです。
このように我々の耳はすでに「平均律」に慣らされ、狂わされているのです。



感想
昔は別の「ドレミファソラシド」があったなんて、びっくり。
それも現在の音よりも美しかったなんて。「純正律」で演奏された音楽も聴いてみたい! でも、美しい「純正律」だけで世界が進んでいっていたら、今のような自由な演奏、転調の多様されたおもしろい展開の曲なんてなかったのかも。ジャズのセッションなんて絶対ムリ!? やっぱり、バッハは偉大だった…!(バッハ先輩ディスってサーセンしたっ)